1870年頃に製作されたシルバープレートのブレッド/ケーキバスケットです。全体に施された装飾は実に華麗で、側面にはクロスをかたどった透かし細工、ボウル部分にはワイルドローズを思わせる花模様のエンボスが広がり、光を受けて陰影豊かな表情を見せます。中央には無地のカルトゥーシュ(家紋やイニシャルを入れるためのスペース)が設けられ、当時の貴族的嗜好を色濃く映し出しています。
スイングハンドルには繊細な装飾が施されており、立てると自立する構造を保っているのも魅力です。脚部には猫足を思わせるスクロール装飾があしらわれ、バスケット全体を優雅に支えています。こうした細部に至るまでの丁寧な仕上げは、ヴィクトリア時代の銀器工芸の水準の高さを今に伝えています。
往時にはパンやケーキ、フルーツなどを盛り付け、アフタヌーンティーや晩餐会など華やかな場面を彩りました。現代においても、お菓子や果物を盛る実用品としてはもちろん、花やポプリを飾ってインテリアとして楽しむことができます。アンティークならではの存在感が空間に気品を添え、テーブルを華やかに演出してくれるでしょう。
中央のカルトゥーシュ部分には長い年月を経てプレートの摩耗が見られますが、150年以上を経たアンティークとしては全体的に良好なコンディションを保っています。歴史を纏った風合いと職人技の精緻な装飾が融合した、本格的なヴィクトリアン・シルバープレートの逸品です。
カルトゥーシュ とは・・
カルトゥーシュとは、銀器やガラス器、家具などに見られる楕円形や盾形の装飾枠のことを指します。
このスペースは単なる装飾ではなく、持ち主のイニシャルや家紋、記念の日付、モットーなどを彫刻するための場所として設けられました。
ヴィクトリア時代からエドワード朝にかけての英国では、銀器やカットグラスが結婚祝い・誕生日・社交上の贈答に多く用いられ、カルトゥーシュに名前を刻むことで贈答品はより個人的で特別な意味を持ちました。当時の上流階級の暮らしを象徴する意匠であり、家紋やイニシャルを刻むことは家の格式やアイデンティティを示す役割も果たしました。
こうした背景から、カルトゥーシュは単なる装飾枠ではなく、贈答品や家伝品に「魂」を与える象徴的なスペースといえるでしょう。
製造 Francis Howard & Son(1837-1974年)
年代 1870年頃
材質 シルバープレート
サイズ 30�傳�22.5�僉々發�/5.5�僉兵茲辰椴�てた時:20.5�僉�
状態 AA