ヴィクトリア時代に製作された華やかなシルバープレート製ケーキ/フルーツバスケットです。側面を飾る繊細な透かし細工と、波打つようなフルーテッド(縦溝)装飾が、器全体に軽やかなリズムを与えています。さらに、全面に施された花模様のエンボス加工は立体感にあふれ、光を受けるたびに陰影が浮かび上がり、優雅な表情を生み出します。
持ち手にはツイストロープ(ねじり紐)を模した装飾が施され、細部に至るまで職人の技巧が凝縮されています。ハンドルは可動式で、立てた状態でも振動などで自然に倒れることがあります。小さなボール型の脚は実用性と安定感を備えながら、器をわずかに浮かせることで、テーブルに置いた際の存在感をいっそう引き立てます。
中央部には無地のカルトゥーシュ(紋章やイニシャルを刻むためのスペース)が設けられており、当時の貴族的嗜好を色濃く映し出しています。ボウル部分には長い年月を経て生じたスポット状の痕がいくつか見られますが、それはむしろアンティークならではの風合いとして、この器の歴史を物語っています。とはいえ、製造から150年以上を経過していることを考えると、全体として非常に良好なコンディションを保っているのも大きな魅力です。
かつてはヴィクトリア朝のティータイムで、フルーツやケーキを盛り付けておもてなしに使われた華やかな器。現代ではテーブルに果物やお菓子を並べるのはもちろん、花やポプリを飾っても映える存在感を備えています。透かし細工、エンボス装飾、ツイストハンドル、そしてカルトゥーシュ——19世紀の銀器装飾技術が凝縮された美術工芸品であり、日常にも特別なおもてなしの場にもふさわしい、気品あふれる一品です。
カルトゥーシュ とは・・
カルトゥーシュとは、銀器やガラス器、家具などに見られる楕円形や盾形の装飾枠のことを指します。
このスペースは単なる装飾ではなく、持ち主のイニシャルや家紋、記念の日付、モットーなどを彫刻するための場所として設けられました。
ヴィクトリア時代からエドワード朝にかけての英国では、銀器やカットグラスが結婚祝い・誕生日・社交上の贈答に多く用いられ、カルトゥーシュに名前を刻むことで贈答品はより個人的で特別な意味を持ちました。当時の上流階級の暮らしを象徴する意匠であり、家紋やイニシャルを刻むことは家の格式やアイデンティティを示す役割も果たしました。
こうした背景から、カルトゥーシュは単なる装飾枠ではなく、贈答品や家伝品に「魂」を与える象徴的なスペースといえるでしょう。
年代 1870年頃
材質 シルバープレート
サイズ 29�傳�22�僉々發�/5.5�僉�18.5�僉Ъ茲端蠅鯲�てた時)
状態 AA